2016年8月1日月曜日

POIで絵文字を出力するためのハック

この記事では、POIを使ってExcel(xlsx)ファイルへ絵文字を出力するためのハックを紹介します。
「ハック」と表現したように、あまりお行儀のいい方法ではないと思っているので、もっとスマートな方法を御存知でしたらコメントなどで教えていただけると嬉しいです。

POIで絵文字を出力しようとすると、そのままでは「??」と文字化けしたようになってしまいます。
これは、Apache XMLBeansのTextSaver(org.apache.xmlbeans.impl.Saver.TextSaver)クラスのisBadCharメソッドが絵文字に対してtrueを返すからです。
Apache XMLBeansはすでに開発が終了しています。isBadCharメソッドはprivateで定義されているので、オーバーライドもできません。私はクラスを上書きする方法を選択しました。

まずは、Apache XMLBeansのソースを取得します。
svn export http://svn.apache.org/repos/asf/xmlbeans/trunk/ xmlbeans

次に、xmlbeans\src\store\org\apache\xmlbeans\impl\Saver.javaをプロジェクトへコピーします。必要なディレクトリ(org\apache\xmlbeans\impl)を作成し、その配下へコピーします。

最後に、isBadCharメソッドを書き換えます。書き換え後は次のようになります。
        private boolean isBadChar ( char ch )
        {
            if (Character.isHighSurrogate(ch) ||
                Character.isLowSurrogate(ch))
                return false;
            return ! (
                (ch >= 0x20 && ch <= 0xD7FF ) ||
                (ch >= 0xE000 && ch <= 0xFFFD) ||
                (ch >= 0x10000 && ch <= 0x10FFFF) ||
                (ch == 0x9) || (ch == 0xA) || (ch == 0xD)
                );
        }
OptimizedForSpeedSaverにも同様のメソッドがあるので、ついでに書き換えておきます。

以上で絵文字を出力できるようになります。

2015年11月9日月曜日

ASP.NETでファイルをダウンロードするボタン

クリックするとファイルをダウンロードするボタンを作りました。
主な機能は以下のとおりです。

  • クリックするとFileプロパティにセットされたファイルをダウンロードする
  • FileプロパティはClickイベントやDownloadingイベントでセットすることもできる
  • Downloadedイベントで動的に作成したファイルを削除することもできる
使用するには、以下の手順に従います。
  1. FileDownloadButtonをプロジェクトに追加する
  2. FileDownloadButtonをツールボックスへ追加する
    参考: 方法 : Visual Studio でカスタム ASP.NET サーバー コントロールを使用するの「カスタム コントロールをツールボックスに追加するには」
  3. *.aspxへFileDownloadButtonを配置し、イベントハンドラを設定する
    例:
    <cc1:FileDownloadButton ID="FileDownloadButton1" runat="server"
                            Text="Download"
                            OnDownloading="FileDownloadButton1_Downloading"
                            OnDownloaded="FileDownloadButton1_Downloaded"/>
    
  4. *.csでイベントハンドラを実装する
    例:
            protected void FileDownloadButton1_Downloading(object sender, EventArgs e)
            {
                // Tempファイルを作成する
                var path = Path.GetTempFileName();
                var file = new FileInfo(path);
    
                // Tempファイルへデータを出力する
                using (var s = file.OpenWrite())
                using (var w = new StreamWriter(s))
                {
                    w.WriteLine("Hello");
                    w.Flush();
                }
    
                // FileDownloadButtonのFileプロパティへTempファイルをセットする
                FileDownloadButton1.File = file;
            }
    
            protected void FileDownloadButton1_Downloaded(object sender, EventArgs e)
            {
                // Tempファイルを削除する
                FileDownloadButton1.File.Delete();
            }
    
Content-Typeの設定やレスポンスの呼び出しなど、低レベルな処理をカプセル化できるので、導入のメリットはそこそこあると思います。よろしければご利用ください。

以下、FileDownloadButtonのソースです。

2015年9月28日月曜日

ASP.NETで動的に画像を生成して返す(IHttpHandler版)

ASP.NETで動的に画像を生成して返すようなときは、WebFormを使用するのが一般的なようです。

この記事ではIHttpHandlerインターフェイスを実装して画像を生成して返す方法を紹介します。
以下2つの手順に従います。

  1. IHttpHandlerインターフェイスを実装した画像を出力するクラスを実装する
  2. 1のクラスをweb.configファイルへ登録する
まず「IHttpHandlerインターフェイスを実装した画像を出力するクラスを実装する」について説明します。このクラスのポイントは3つあります。
  1. IHttpHandlerインターフェイスを実装すること
  2. 画像のバイナリデータをHTTPレスポンスへ出力すること
  3. Content-Typeヘッダを適切に設定すること
次のサンプルプログラム(一部)をご覧ください。
namespace HttpHandlerSample
{
    // 動的にPNG画像を生成するクラス
    public class PngHandler : IHttpHandler
    {
        // このオブジェクトが再利用可能かを返すプロパティ
        public bool IsReusable
        {
            get
            {
                return true;
            }
        }

        // ...略...

        // HTTPリクエストを処理するメソッド
        public void ProcessRequest(HttpContext context)
        {
            // 画像を生成する
            using (var image = GenerateImage())
            {
                // PNG形式でHTTPレスポンスへ出力する
                var output = context.Response.OutputStream;
                image.Save(output, ImageFormat.Png);
                output.Flush();
            }

            // Content-TypeヘッダをPNG形式に設定する
            context.Response.ContentType = "image/png";
        }

        // ...略...

    }
}

IHttpHandlerにはIsReusableプロパティとProcessRequestメソッドが定義されています。このProcessRequestメソッドを実装することで機能を実現します。
画像のバイナリデータを出力するには、Image#Saveメソッドを使用します。
Content-Typeヘッダを指定するには、HttpResponse#ContentTypeプロパティを使用します。画像の形式が一致するように設定します。

次に、上のクラスをweb.configへ以下のように設定します。
<configuration>
  <system.webServer>
    <handlers>
      <add name="PngHandler" path="*.png" verb="GET" type="HttpHandlerSample.PngHandler"/>
    </handlers>
  </system.webServer>
</configuration>
ちなみに

以上で動的な画像の生成が実現できます。
以下、サンプルコード全体です。

2015年8月31日月曜日

年齢を計算する関数

過去に実装した年齢計算プログラムのロジックが残念なことになっていましたので、考えを整理しました。
記事の最後に載せたプログラムのコメントにも書きましたが、ポイントは2つあります。
  1. 基準日の年と生年の差
  2. 基準日がその年の誕生日よりも前のときは1を減算する
2つ目の条件につきましては、生年月日の年を基準日の年と置き換え、年齢を求める日付と比較すれば判定できます。
「年齢を求める日付」はいい言葉が思いつきませんでした。いい言葉をご存知の方はコメントして頂けると助かります。
2015/8/31
NARITA Shoさんから「Excel 界隈では「基準日」という語が使われているみたいですね。」とのコメントを頂きました。ありがとうございました。

以下、xyzzy lispとC#での実装を記載します。
2015/9/2
C#での実装例を追加しました。

2015年6月1日月曜日

Javaの正規表現で後方参照を使用する

テキスト処理で重要になる正規表現と後方参照。
Javaで実装するサンプルを2つ紹介します。

$nを使用する方法
Matcher#replaceAllメソッドや、Matcher#replaceFirstメソッドは$nで後方参照を使用できます。
String regex = "\\[([0-9]+)\\]";
String src = "[1] [2] [3] [4] [5]";
 
Pattern pattern = Pattern.compile(regex);
Matcher matcher = pattern.matcher(src);
String  result1 = matcher.replaceAll("($1)");
System.out.println(result1);
// => (1) (2) (3) (4) (5)


Matcher#groupを使用する方法
Matcher#groupメソッドを使用する方法は多少複雑です。
正規表現にマッチする部分は、Matcher#startメソッドとMatcher#endから取得できます。
この部分文字列を置き換えてしまえばいいというわけです。
こちらの方法では、後方参照で取得した文字列を元にして、編集を加えられるというメリットがあります。
サンプルではアラビア数字から漢数字へ置き換えています。
String regex = "\\[([0-9]+)\\]";
String src = "[1] [2] [3] [4] [5]";
String[] kan = {"一", "ニ", "三", "四", "五"};
Pattern pattern = Pattern.compile(regex);
Matcher matcher = pattern.matcher(src);
StringBuilder result2 = new StringBuilder();
int lastEnd = 0;
String outOfMatch = "";
while(matcher.find()) {
    outOfMatch = src.substring(lastEnd, matcher.start());
    String group = matcher.group(1);
    int n = Integer.parseInt(group);
    String kanN = kan[n-1];
    result2.append(outOfMatch);
    result2.append("(" + kanN + ")");
    lastEnd = matcher.end();
}
outOfMatch = src.substring(lastEnd);
result2.append(outOfMatch);
System.out.println(result2);
// => (一) (ニ) (三) (四) (五)

以下、サンプルソース全体です。

2015年5月11日月曜日

Javaで文字列を表示した時の幅を取得する

FontオブジェクトとFontMetricsオブジェクトを使用して、簡単に取得できます。
簡単なのでいきなりサンプルプログラムです。
import java.awt.Font;
import java.awt.FontMetrics;
import sun.font.FontDesignMetrics;

public class Program {

    public static void main(String[] args) {
        // Fontオブジェクトをインスタンス化する
        // FontオブジェクトからFontMetricsオブジェクトを取得する
        // FontMetrics#stringWidthメソッドで文字列の幅を取得する
        Font font = new Font("Monospace", Font.PLAIN, 12);
        FontMetrics fontMetrics = FontDesignMetrics.getMetrics(font);
        String data = "Hello FontMetrics";
        int width = fontMetrics.stringWidth(data);
        System.out.println(width);
    }
}

※このプログラムをコンパイルすると警告が出ます。

2015年4月27日月曜日

JavaのExecutorServiceのサンプル

Javaでスレッドを使用するには、ExecutorService#invokeAllを呼ぶのが簡単です。ExecutorService#inokeAllは別スレッドで実行するCallableオブジェクトのコレクションを引数として受け取り、処理がすべて完了するまで現在のスレッドをブロックします。処理の結果はFutureのリストとして返ります。
サンプルとして、複数のホストに対してpingコマンドを発行するプログラムを作成しました。
import java.util.List;
import java.util.ArrayList;
import java.util.concurrent.Callable;
import java.util.concurrent.Executors;
import java.util.concurrent.ExecutorService;
import java.util.concurrent.Future;

public class Program {
    
    public static void main(String[] args) throws Exception {

        ExecutorService svc = Executors.newFixedThreadPool(3);

        try {
            List<Callable<Integer>> listCallable = new ArrayList<>();
            for (String ipAddress : args) {
                listCallable.add(new PingCommand(ipAddress));
            }
            List<Future<Integer>> listFuture = svc.invokeAll(listCallable);
            for (Future<Integer> future : listFuture) {
                System.out.println(future.get());
            }
        } finally {
            svc.shutdown();
        }
    }

    private static class PingCommand implements Callable<Integer> {
        private final String ipAddress;

        private PingCommand(String ipAddress) {
            this.ipAddress = ipAddress;
        }

        public Integer call() {
            try {
                String[] args = {"ping", ipAddress, "-c", "3"};
                Process proc = new ProcessBuilder(args).start();
                return proc.waitFor();
            } catch (Exception e) {
                e.printStackTrace();
                return -1;
            }
        }
    }
}

参考
ExecutorService
Callable
Future