2014年6月9日月曜日

Google GuiceのBest Practicesを訳してみた - @Nullableを使用せよ

@Nullableを使用せよ
NullPointerExceptionをコードから追い出すために、null参照についてよく知らなければならない。次のシンプルなルールに従うことで、成功を収めている。

すべてのパラメータは、特に示されない限り、nullではない。

Guava: Google Core Libraries for JavaJSR-305にはnullをコントロールするためのシンプルなAPIがある。Preconditions.checkNotNullはnull参照を発見したら直ちに終了するために使用でき、@Nullableはパラメータがnullを許可することを示すために使用できる。
import static com.google.common.base.Preconditions.checkNotNull;
import static javax.annotation.Nullable;

public class Person {
    ...

    public Person(String firstName, String lastName, @Nullable Phone phone) {
        this.firstName = checkNotNull(firstName, "firstName");
        this.lastName = checkNotNull(lastName, "lastName");
        this.phone = phone;
    }

Guiceはデフォルトでnullを拒絶する。nullの注入を拒否し、代わりにProvisionExceptionをスローして失敗する。もしnullを許可したいのであれば、フィールドやパラメータへ@Nullableを付けられる。Guiceはedu.umd.cs.findbugs.annotations.Nullableのようなあらゆる@Nullableに対応している。

参照
Use @Nullable

2014年6月6日金曜日

Google GuiceのBest Practicesを訳してみた - 静的状態を避けよ

静的状態を避けよ
静的状態とテスタビリティは敵対している。テストは高速で、副作用がないほうがよい。しかし、定数以外が静的フィールドに保持されると、管理に苦痛をもたらす。テストによってモックが作られた、静的なシングルトンを安全に処分するのは難しい。さらに、他のテストにも悪影響をおよぼす。
requestStaticInjection()は松葉杖である。Guiceは、静的に構成されたアプリケーションをDIに対応したスタイルに簡単に移行できるように、このAPIを追加した。新しく開発されるアプリケーションは、このメソッドを使用するべきではない。
静的状態は悪いが、静的であること自体には問題はない。静的クラスはOKであり(むしろ好まれる)、純粋な関数(ソートや数学)にとっては、静的であることが相応しい。

参照
Avoid static state

関連
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Google GuiceのBest Practicesを訳してみた - 循環する依存関係を解決する

2014年6月2日月曜日

Google GuiceのBest Practicesを訳してみた - 循環する依存関係を解決する

循環する依存関係を解決する
Store、Boss、Clerkを含むいくつかのクラスがあるアプリケーションについて考える。
public class Store {
        private final Boss boss;
        //...

        @Inject public Store(Boss boss) {
                this.boss = boss;
                //...
        }

        public void incomingCustomer(Customer customer) {...}
        public Customer getNextCustomer() {...}
}

public class Boss {
        private final Clerk Clerk;
        @Inject public Boss(Clerk Clerk) {
                this.Clerk = Clerk;
        }
}

public class Clerk {
        // Nothing interesting here
}

今のところ、依存関係は全く問題ない。Bossを使用してStoreをインスタンス化し、Clerkを使用してBossをインスタンス化する。ところが、販売のためにClerkにCustomerを取得させようとすると、Storeへの参照が必要になる。
public class Store {
        private final Boss boss;
        //...

        @Inject public Store(Boss boss) {
                this.boss = boss;
                //...
        }
        public void incomingCustomer(Customer customer) {...}
        public Customer getNextCustomer() {...}
}

public class Boss {
        private final Clerk clerk;
        @Inject public Boss(Clerk clerk) {
                this.clerk = clerk;
        }
}

public class Clerk {
        private final Store shop;
        @Inject Clerk(Store shop) {
                this.shop = shop;
        }

        void doSale() {
                Customer sucker = shop.getNextCustomer();
                //...
        }
}

これはClerk -> Store -> Boss -> Clerkという循環をもたらす。Clerkをインスタンス化しようとするとStoreがインスタンス化され、StoreはBossのインスタンスが必要であり、BossはClerkのインスタンスが必要なのだ。
この循環を解決するための方法がいくつかある。

循環を断ち切る(推奨)
しばしば循環は不十分な責務の分割を反映している。そのような循環を断ち切るには、分割したクラスへ依存を抽出する。
この例では、来店する顧客を管理する機能をCustomerLineというクラスに抽出でき、ClerkとStoreへ注入できる。
public class Store {
        private final Boss boss;
        private final CustomerLine line;
        //...

        @Inject public Store(Boss boss, CustomerLine line) {
                this.boss = boss; 
                this.line = line;
                //...
        }

        public void incomingCustomer(Customer customer) { line.add(customer); } 
}

public class Clerk {
        private final CustomerLine line;

        @Inject Clerk(CustomerLine line) {
                this.line = line;
        }

        void doSale() {
                Customer sucker = line.getNextCustomer();
                //...
        }
}

StoreとClerkはどちらもCustomerLineへ依存しているが、循環は存在しない(StoreとClerkの両方が同じインスタンスを参照するときも)。このことはまた、テントで特売セールをするとき、店員が自動車を販売できることも意味する。ただ単に他のCustomerLineを注入すれば良い。

Providerを使用して循環を解決する
Providerを注入することで、依存関係へ継ぎ目を追加できる。ClerkはまだStoreに依存しているが、必要になるまでShopを参照することはない。
public class Clerk {
        private final Provider shopProvider;
        @Inject Clerk(Provider shopProvider) {
                this.shopProvider = shopProvider;
        }

        void doSale() {
                Customer sucker = shopProvider.get().getNextCustomer();
                //...
        }
}

StoreがSingletonや他の再利用するスコープを指定しない時、shopProvider.get()は新たなShopをインスタンス化し、Bossをインスタンス化し、Clerkをインスタンス化することに注意が必要だ。

ファクトリメソッドを使用して2つのオブジェクトを結びつける
依存するクラス同士がより密接に結びついているときは、上記のメソッドでは解決できない。View/Presenterパターンを使用していると、このような状況に出くわす。
public class FooPresenter {
        @Inject public FooPresenter(FooView view) {
                //...
        }

        public void doSomething() {
                view.doSomethingCool();
        }
}

public class FooView {
        @Inject public FooView(FooPresenter presenter) {
                //...
        }

        public void userDidSomething() {
                presenter.theyDidSomething();
        }
        //...
}

どちらのオブジェクトも相手のオブジェクトを必要としている。このような状況とうまくやるために、AssistedInjectが使える。
public class FooPresenter {
        privat final FooView view;
        @Inject public FooPresenter(FooView.Factory viewMaker) {
                view = viewMaker.create(this);
        }

        public void doSomething() {
        //...
                view.doSomethingCool();
        }
}

public class FooView {
        @Inject public FooView(@Assisted FooPresenter presenter) {...}

        public void userDidSomething() {
                presenter.theyDidSomething();
        }

        public static interface Factory {
                FooView create(FooPresenter presenter)
        }
}

そのような状況は、Guiceを使用してビジネスモデルを表現しようとするときに出くわす。そのモデルには、異なる関係を反映した循環があるかもしれない。そのような状況にも、AssistedInjectは効果的だ。

参照
Resolving Cyclic Dependencies

関連
Google GuiceのBest Practicesを訳してみた - 可変性を最小化せよ
Google GuiceのBest Practicesを訳してみた - 直接の依存性のみ注入せよ

2014年5月29日木曜日

Google GuiceのBest Practicesを訳してみた - 直接の依存性のみ注入せよ

直接の依存性のみ注入せよ
他のオブジェクトを取得するために注入することを避けよ。例えば、Accountを取得するためにCustomerを注入してはいけない。
public class ShowBudgets {
    private final Account account;

    @Inject
    ShowBudgets(Customer customer) {
        account = customer.getPurchasingAccount();
    }

代わりに、依存するクラスを直接注入せよ。これはテストを簡単にする。テストはテスト自身とCustomerにだけ注意すればよい。@Providesを付けたメソッドを使い、CustomerからAccountをバインドする。
public class CustomerModule extends AbstractModule {
    @Override public void configure() {
        ...
    }

    @Provides
    Account providePurchasingAccount(Customer customer) {
        return customer.getPurchasingAccount();
    }

依存性を直接注入することで、コードはシンプルになる。
public class ShowBudgets {
    private final Account account;

    @Inject
    ShowBudgets(Account account) {
        this.account = account;
    }

2014年5月26日月曜日

Google GuiceのBest Practicesを訳してみた - 可変性を最小化せよ

可変性を最小化せよ
可能であればいつでも、不変なオブジェクトを生成するようにコンストラクターインジェクションを使用すること。不変なオブジェクトはシンプルで、共有でき、再利用できる。このパターンにしたがって注入可能なクラスを定義する。
public class RealPaymentService implements PaymentService {

    private final PaymentQueue paymentQueue;
    private final Notifier notifier;

    @Inject
    RealPaymentService(
        PaymentQueye paymentQueue,
        Notifier notifier) {
        this.paymentQueue = paymentQueue;
        this.notifier = notifier;
    }

    ...

このクラスの全てのフィールドはfinalであり、@Injectが付けられたコンストラクタで初期化されている。Effective Javaでは不変性の他の利点について述べられている。

メソッドインジェクションとフィールドインジェクション
コンストラクターインジェクションにはいくつかの制限がある。

  • 注入されるコンストラクタはオプションにならない。
  • オブジェクトがGuiceによって生成されない限り、使用されない。これは一部のフレームワークとの関係を断つ。
  • サブクラスはsuper()を全ての依存するクラスとともに呼ばなければならない。これはコンストラクターインジェクションを扱いにくくする。親クラスに変更があったときは特に。
Guiceによって生成されないオブジェクトを初期化するなら、メソッドインジェクションがもっとも便利だ。AssistedInjectやMultibinderのような拡張は、バインドされたオブジェクトを初期化するために、メソッドインジェクションを使用する。

フィールドインジェクションは、コンパクトに記述できる。故に、例を示すときやスライドで頻繁に目にする。それはカプセル化もできていないし、テストもしにくい。finalなフィールドへ注入してはいけない。注入された値が全てのスレッドで参照できることを、JVMは保証していない。

2014年5月19日月曜日

Lispでバケツソート

日経ソフトウェアの2014年6月号で、バケツソートが紹介されていました。
興味深かったので、Lispで実装してみました。

ソース
(defun backet-sort (v backet-count)
  "バケツソート"
  (let ((backet (array-to-backet v backet-count)))
    (backet-to-array backet (length v))))

(defun array-to-backet (arr backet-count)
  "配列からバケツを構成する"
  (let ((backet (make-array backet-count :initial-element 0)))
    (dotimes (i (length arr) backet)
      (let ((n (aref arr i)))
        (setf (aref backet n) (1+ (aref backet n)))))))

(defun backet-to-array (backet array-length)
  "バケツからソート済みの配列を構成する"
  (let ((arr (make-array array-length)))
    (loop with arr-index = 0
          for i below (length backet)
          when (< 0 (aref backet i))
          do (loop repeat (aref backet i)
                   do (setf (aref arr arr-index) i)
                      (setq arr-index (1+ arr-index))))
    arr))


(defun main ()
  "動作確認のための関数"
  (let ((l (loop with state = (make-random-state t)
                 repeat 10
                 collect (random 10 state))))
    (print (sort (make-array (length l) :initial-contents l) #'<))
    (print (backet-sort (make-array (length l) :initial-contents l) 10))))

(main)

なんとなく汚い感じがするのは、きっと自分の腕が未熟だからでしょう。

2014年5月12日月曜日

JavaScriptでは"false"はtrueとして扱われる

タイトルだけでは「そんなバカな」と思われるかもしれませんが、要はtruthy/falsyの話です。

JavaScriptでのTruthy/Falsy
仕様は、ECMAScript Language Specification - 9.2 ToBooleanにあります。これによれば、falseとして扱われるのは次の6つです。

  1. undefined
  2. null
  3. false
  4. 0
  5. NaN
  6. "" (空文字列)
Boolean関数を使って確認してみました。


"false"がtrueとして扱われることが確認できました。

問題になるケース
問題になるケースとしては、サーバーサイドの言語からJavaScriptへ、type="hidden"のinputのvalueへfalseをセットする場合が考えられます。サーバーでセットされた値を使用して、次のようなif文を書くと問題が発生します。

// <input id="someElement" type="hidden" value="false" />のとき
if (document.getElementById('someElement').value) {
    // このブロックが実行される
    ...
}

回避するには、明示的に"true"と比較するのがいいでしょう。

// <input id="someElement" type="hidden" value="false" />のとき
if ("true" === document.getElementById('someElement').value) {
    // このブロックは実行されない
    ...
}

JavaScriptの型は独特のゆるさがあるので、ついついチェックがあまくなりがちです。しかし、今自分がどんな型を扱おうとしているのか把握していないと、思わぬところでハマってしまいます。という記事でした。

おまけ
「Boolean型に変換するAPIはないのか」と思って調べてみましたが、次のような結果に。


参考
ECMAScript Language Specification